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EAMソリューション部
課長
ーー T・NさんはIBM Maximoファミリー製品(以下、Maximo)に関わってどれくらいですか。
T・N 2010年にMaximoから出力する帳票プログラムの開発に参加したのが最初ですから、もう14~15年になります。それ以来、会社のほうでMaximoへの投資とビジネスの拡大を掲げてきたこともあり、継続的に担当しています。
ーー これまでにどのようなMaximo案件に携わってきたのですか。
T・N 主な業種を挙げると、電力、機械製造、自動車、石油化学などですが、開発してきた範囲としては設備管理や障害予測、予防保全です。Maximoの多様な機能を駆使して、さまざまシステムを開発してきました。また最近は、Maximoと同じような製品でIT資産管理に特化した「IBM Control Desk」も手がけるようになり、Maximoと並行してシステム開発と保守・運用を行っています。
ーー 現在はどのような案件を担当しているのですか。
T・N 大きくは3つあり、1つは電力系の送配電網関連の設備管理システムの開発、2つ目はクラウド上のサーバーの保守・資産管理、3つ目はユーザーID管理システムの保守・運用です。
このうち電力系の設備管理システムは従来のシステムをMaximoで置き替える再構築プロジェクトで、当社がこれまでに手がけてきたMaximo案件の5~6倍の規模になる大型システムです。プロジェクトには日本IBM様のほか複数の開発会社が参加していますが、その中で当社はシステムの主力機能の開発を担当しています。
ーー 設備管理とはどのようなシステムなのですか。
T・N 設備管理とは、会社が保有する設備に対して将来の予期しない障害を防ぐための定期的な保全作業を指します。大型でクリティカルな設備を運用する会社では2年に1回や5年に1回等の定期点検作業を定めていますが、Maximoはその予防保全作業をサポートし、安全・確実な運用と問題の発生を未然に防ぐことを可能にする多様な機能を備えています。
今回のシステムは仕様がやや複雑で、扱うデータも膨大です。当社ではシステム要件に基づき実装方法を決め、開発作業を進めています。
ーー その開発では、Maximoを使った開発のほかにコーディング作業などもあるのですか。
T・N 基本はMaximoで開発するほうがバグが少なく保守・改修作業が容易になるのでカスタマイズコーディングは行わないように調整していますが、お客様からカスタマイズのご要望があれば、極力お応えするようにしています。
ーー T・Nさんのチームが主力機能の開発を担当するようになったのは、どのような経緯ですか。
T・N プロジェクトの最初期から参画させてもらい仕様について詳しく理解していたのと、これまでに日本IBM様と数々のMaximo案件をご一緒し完了させてきたことが評価されたと考えています。また日本IBM様とはプロジェクトを通して良好な関係を築けてきたのも要因かと思います。
ーー 意思疎通はプロジェクトが大きくなるほど重要な要素ですね。
T・N そう思います。そのことは私のチームでも同じで、毎朝の朝会で状況や課題を確認し合うことは非常に重要だと感じています。
ーー 現在の課題やチャレンジは何ですか。
T・N 私のチームは20代、30代の若手が多いので、工期・品質を含めたプロジェクトの予定通りの遂行に加えて、メンバーの育成やスキルアップも重要なテーマです。Maximoは機能が多く多岐にわたるので、覚えるだけでも一定期間はかかります。そのうえに現場の事情に通じた知見や経験も必要です。メンバー個々の関心やスキルレベルにミートさせながらうまくテーマを選択し、成功体験を積み重ねられるようにリードしていきたいと考えています。
チャレンジということでは、設備管理システムの中でモバイル対応にも取り組んでいます。点検担当者が現場で利用するタブレットシステムの開発です。モバイルは、私のチームにとって初めての経験ですが、今のところ順調に進んでいます。こうした新しい技術がどんどん入ってくる領域はエンジニアのモチベーションを上げるようで、メンバーたちは嬉々として開発作業を進めています。
ーー T・NさんのMaximoチームの強みは何ですか。
T・N お客様のご要望に寄り添っていける点だろうと思います。そのためにはMaximoへの精通や、設備管理や設備保全の業務に通じていることが不可欠です。これまでの14~15年の取り組みの中で、それらの基盤となることを築いてこれたのではないかと思っています。
ーー 今後はどのような計画・予定ですか。
T・N 設備管理や設備保全は、どの業種・業態でも欠かせないテーマでしょう。また従来からの設備管理システムの近代化・高度化・効率化も、システム環境が大きく変わる中で切実なテーマになりつつあります。
当社ではMaximo関連事業の拡大を、業種・業態をとわず進めていく方針を打ち出しています。私の課では、設備管理や予防保全に関するどのような案件にも挑戦していきたいと考えています。
ーー 技術面ではいかがですか。
T・N 最近、MaximoファミリーがIBM watsonx(IBMのAIツール)に対応したので、その分野のマスターを進めようと考えています。設備管理や予防保全の分野では今後、AIの適用が急速に進むと思います。当社では他の部門でAIへの取り組みを進めていますので、そことも連携しながら、設備管理・予防保全の将来に備えていきたいと考えています。