IBM i技術情報|テープ装置以外にIBM iのバックアップを取得する方法

2024/06/30IBM i技術情報

鈴木 由臣

株式会社クレスコ・ジェイキューブ
デジタルソリューションセンター

今回のIBM i技術情報は、テープ装置以外にIBM iのバックアップを取得する方法をご紹介します。

IBM iのデータのバックアップをテープ装置に取得している方が多いと思います。今回はテープ装置以外にIBM iのバックアップを取得できる「仮想テープ装置」について記載します。仮想テープ装置は、テープカートリッジにバックアップを取得するのではなく、ディスクにバックアップを取得する方法です。

仮想テープを使用するために必要な準備作業は次の4つです。

①仮想テープ装置記述の作成
②イメージカタログの作成(テープ装置に相当)
③イメージカタログにカタログ項目を追加(テープカートリッジに相当)
④イメージカタログと仮想テープ装置を紐付け

*上記の必要な準備作業は、一度実施すれば毎回実施する必要はありません。

下記に必要な準備作業の例を記述します。

①仮想テープ装置記述の作成

CRTDEVTAPコマンドのパラメータ:資源名(RSCNAME)に*VRTを指定して、仮想テープ装置を作成します。

  CRTDEVTAP DEVD(TAPVRT01) RSRCNAME(*VRT)

WRKDEVDコマンドを実行して、タイプ:63B0 の装置記述が作成されたことを確認します。

  WRKDEVD DEVD(TAPVRT01)  

VRYCFGコマンドを実行して、上記で作成した仮想テープ装置をオンにします。
   
  VRYCFG CFGOBJ(TAPVRT01) CFGTYPE(*DEV) STATUS(*ON)

WRKCFGSTSコマンドを実行して、仮想テープ装置がオンであることを確認します。
   
  WRKCFGSTS CFGTYPE(*DEV) CFGD(TAPVRT01)

②イメージカタログの作成(テープ装置に相当)

CRTIMGCLGのコマンドを実行して、イメージカタログIMGCLG01を作成します。
   
  CRTIMGCLG IMGCLG(IMGCLG01) DIR(‘/HOME/IMGCLG01’) TYPE(*TAP) CRTDIR(*YES)   

WRKIMGCLGコマンドを実行して、イメージカタログが作成されたことを確認します。

  WRKIMGCLG IMGCLG(IMGCLG01) TYPE(*TAP)

 *この段階では、状況が「作動不能」で問題ありません。

③イメージカタログにカタログ項目を追加(テープカートリッジに相当)

ADDIMGCLGEコマンドを実行して、イメージカタログ項目を作成します。
   
  ADDIMGCLGE IMGCLG(IMGCLG01) FROMFILE(*NEW) TOFILE(IMG001.ISO) IMGSIZ(100000) ALCSTG(*MIN) VOLNAM(VOL001)

 *IMG001.ISOは、手順②のCRTIMGCLGのDIRで指定したフォルダーに作成されます。

IMGSIZは 48 ~ 1000000 メガバイトまで指定が可能です。
ALCSTGで*MINを指定した場合は、作成時点で初期設定に必要なディスク容量のみが確保されます。
*IMGSIZを指定した場合は、作成時点でIMGSIZに指定したディスク容量が確保されます。
VOLNAM はSAVLIBコマンド等でバックアップする時のテープ・ボリューム名になります。

 カタログ項目はテープカートリッジに相当するものなので、複数追加することも可能です。
 2つ目のカタログ項目を追加する例を下記に記述します。
 パラメータのTOFILE と VOLNAM を1つ目のカタログ項目とは異なる値を指定します。

   ADDIMGCLGE IMGCLG(IMGCLG01) FROMFILE(*NEW) TOFILE(IMG002.ISO) IMGSIZ(100000) ALCSTG(*MIN) VOLNAM(VOL002)

WRKIMGCLGEコマンドを実行して、イメージカタログ項目が作成されたことを確認します。
   
  WRKIMGCLGE IMGCLG(IMGCLG01)
   

④イメージカタログを仮想装置と紐付け

LODIMGCLGコマンドを実行して、イメージカタログと仮想テープ装置を紐付けします。

   LODIMGCLG IMGCLG(IMGCLG01) OPTION(*LOAD) DEV(TAPVRT01)
    イメージカタログ(IMGCLG):手順②で作成したIMGCLG01
    仮想テープ装置(DEV)   :手順①で作成したTAPVRT01   

WRKIMGCLGコマンドを実行して、イメージカタログと仮想テープ装置の紐付けされたことを確認します。

WRKIMGCLG IMGCLG(IMGCLG01) TYPE(*TAP)

状況が「作動可」、装置が「TAPVRT01」となっていることを確認します。

以上で、準備作業は完了です。

では、仮想テープ装置(TAPVRT01)にライブラリーをバックアップしてみましょう。

仮想テープ装置にライブラリーをバックアップ
 
SAVLIBコマンドを実行して、ライブラリーをバックアップする。

   SAVLIB LIB(PXDLIB) DEV(TAPVRT01) VOL(VOL001)
    装置:仮想テープ装置(TAPVRT01)を指定
    ボリュームID:カタログ項目追加で指定したVOLNAMを指定

DSPTAPコマンドを実行して、ライブラリーがバックアップされたことを確認する。

   DSPTAP DEV(TAPVRT01) VOL(VOL001)

ライブラリーPXDLIBは、イメージカタログ(IMGCLG01)のカタログ項目(/HOME/IMGCLG01/IMG001.ISO)にバックアップされています。

DSPLNKコマンドを実行して、IMG001.ISOファイルのデータ変更日/時刻がバックアップした日時であることを確認します。

   DSPLNK OBJ(‘/HOME/IMGCLG01/IMG001.ISO’)

OPT=8 を指定して、次ページを表示

バックアップを取得したカタログ項目ファイル(/HOME/IMGCLG01/IMG001.ISO)をFTP転送などでPCサーバなどの外部サーバへコピーしておけばバックアップになります。

仮想テープ装置を利用してバックアップする時の注意点として、IBM iのIFS領域を使用しますのでIBM iのディスク使用率が逼迫しないように留意してください。

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