人事労務・給与業務を担当しているお客様へのお役立ちコラム|第4回 令和7年 育児・介護休業法の改正のポイント

2025/03/03コラム

河村 正雄

社会保険労務士法人ELMソリューションズ
代表社員・特定社会保険労務士

育児・介護休業法が2024年5月に改正されました。今回の改正は、男女とも仕事と育児や介護を両立できるよう法改正をすることで、誰もが働き続けることができるような環境づくりを推進する内容です。

育児期における柔軟な働き方を実現するための措置や、介護離職防止のための環境整備・個別周知・意向確認の義務化等も含まれており、2025年4月1日から段階的に施行されます。

1 今回の改正のねらいと施行日

改正のねらい

男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずるものです。

今回の改正は3つのテーマで構成されています。

1:子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
2:育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
3:介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

改正された内容は2025年4月1日もしくは2025年10月1日より施行(実施・適用)されます。

2 改正の概要

1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充【育児・介護休業法】

① 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生まで拡大するとともに(現行の看護休暇の対象は小学校就学前の子)、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。

② 所定外労働の制限(残業免除) の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子を養育する労働者に拡大する(現行は3歳になるまでの子)。

③ 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務づける。

上記の措置のうち、事業主は2つ以上を選択することとされています。

④ 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

⑤ 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務づける。

2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化【育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法】

① 育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超の事業主に拡大する(現行は1000人超の事業主が公表義務の対象)。

② 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等にかかわる状況把握・数値目標の設定を事業主に義務づける。

③ 次世代育成支援対策推進法の有効期限を令和17年3月31日まで、10年間延長する
(現行は令和7年3月31日まで)。

3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等【育児・介護休業法】

① 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務づける。

② 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務づける。

③ 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。

④ 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。

法改正による仕事と育児の両立イメージは下図の通りです。

出典:厚生労働省「育児・介護休業法 次世代育成支援対策推進法の改正ポイントの案内」(リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf


河村 正雄

社会保険労務士法人ELM(エルム)ソリューションズ 代表社員
特定社会保険労務士、国家資格キャリアコンサルタント、医療労務コンサルタント、職務評価コンサルタント、相談のプロ
https://www.sharoshi-tokyo.com/index.html

東京都杉並区生まれ、成蹊大学法学部卒業
企業の人事・総務部門を経験した後、1994年東京で社会保険労務士事務所を開業。小売業、医療機関、警備業、教育機関等の労務管理、労務トラブルの解決、採用支援、定着支援等を得意とする一方、キャリアコンサルタントとして企業におけるキャリアカウンセリング、キャリアパス設計のためのコンサルティング実績も多数。また、分かりやすく楽しいセミナーをモットーに各種基調講演や行政機関、商工団体でのセミナーを多数経験。

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